こどもの心とからだシリーズ


テレビを消そう

近年のテレビの低俗化ははなはだしい。 出演者だけが楽しんでいるようだ、しかも誰かをいじめて。 そんなバラエティー番組や歌番組が多すぎる。 子どもに良い影響を与える筈がない。 そう思われるなら、まずテレビを消してみよう。 誰も見ない低俗な番組はだんだんと淘汰されていくと思う。 不満を言いながらもチャンネルを合わせる視聴者がいるから、 番組は低俗のまま存在し続ける。
こんな状態が続けば、テレビの存在の意味もなくなってくる。 人々は自分の好みで、多くの専門チャンネルから好きな番組を 選べる時代だから、もっともっと良質の番組を提供して欲しいし、 大人は出来るだけ良質の番組にのみチャンネルを合わせるようにしたい。


カンムシ

生まれて一年に満たない赤ちゃんが激しく泣い て、いつまでも泣きやまなかったり、夜泣きをし たり、キイキイいう奇声を発したりした場合「こ の子はカンが強い」「この子のカンのムシには困 る」などという言葉が聞かれる。
「カンのムシ」の「ムシ」は「ムシの居所が悪 い」「ムシの知らせ」などという場合の「ムシ」 と同じで、実在の「ムシ」ではない。
寄生虫と間違われ、「虫下しを処方して欲しい」 といわれたことがあった。
もともと「カン」は漢方の病名「疳」に由来す る用語と思われるが、「癇」という文字を使う人もあ る。
「カン」の強い子は多少神経質だが、鋭い感受 性を持った子どもであり、将来すぐれた人物に成長 することを、大いに期待し、あせって「ムシ封じ」 をすることはない。


赤ちゃんの睡眠

人間は生まれながらにして、心臓の鼓動、体温、 血圧などが一定のリズムで繰り返されるような「体 内時計」を持っている。
睡眠と目覚めもこのリズムによって繰り返され ているが、成人と赤ちゃんでは大きな違いがある。
生まれたばかりの赤ちゃんは一日二十時間くら い眠り、一回に続けて眠る時間は約四時間ぐらい といわれる。
誕生日ごろになると、一日十三時間ぐらいの睡 眠時間になり、だんだんと赤ちゃんの家庭の生活 のリズムに合った睡眠のリズムがつくられる。
健康な赤ちゃんがぐづる原因のほとんどは、お 腹がすいた時とか、眠いのにうまく眠れない時で あり、抱っこも良いが、赤ちゃんが安心して眠る には、添い寝をしてあげるのが良い。


フットマインド

こどもの足は常に成長し続ける。およそ一年に 一センチが目安で、初めて自分で立ち上がった日 から様々な過程をへて成長してゆく。
歩き始めた赤ちゃんの足は生タマゴの様なもの で、安定感がない。この頃の足はまだ軟骨で、三 歳〜五歳と骨化がすすむ。それに伴い、足の大切な 機能であるアーチ部の形成も飛躍的に増えるので、 しっかり足をガードし、なおかつ自然な発育も妨 げない靴選びが大切になる。間違った靴選びは「靴 原病」といって外反母趾や、ハンマートウ足の変形といっ た様々な足の異常を起こし、後で苦しむことにな る。
こどもの足は半年も経てば成長している。こど もの靴はかかとがしっかり固定して、五本の指が 動かせる靴が、足の筋力、足指の握力を強くし、立 派なアーチを作り、足の健康な成長にも大切だ。

※ 2002/07/08訂正


日焼け

こどもに日光浴はすすめられなくなった。母子 手帳にも日光浴ということばはみられなくなった。 フロンガスがオゾン層を破壊し、人体に有害な紫 外線を増やしたからだ。こどもは体表面積が大き いので、大人の三倍の紫外線を浴びるといわれる。
皮膚が赤くなる日焼けは皮膚の細胞の遺伝子を 傷つけ、数十年後に皮膚の老化を早め、皮膚ガン や白内障の原因になることもあり、紫外線から皮 膚を守る対策がとられるようになってきた。しか しこどもは自分で日焼けを防止できない。
こどもを紫外線から守るには、紫外線の強い時 間帯の外出を避け、帽子、長袖のシャツを着て、日 焼け止めクリームを塗ったり、サングラスも使っ てみよう。
プールの遊びの時も、テントやパラソルで日陰を 作ったりしよう。大人は地球環境をこれ以上悪化 させない努力が必要だ。あなたの皮膚老化、皮膚 ガン、白内障の予防のためにも。


親を選べない

近ごろこどもにまつわる事件が多い。こどもの 虐待のニュースをみると、「こどもは親を選べない」 悲しさを覚える。
こどもは生まれてくる時、環境をも含めて、親の生 き方に左右される。
少なくとも親はこどもを産むか産まないかの選 択ができるが、こどもには選択の余地がない。
こどもは生まれてきた環境のなかで、精神的に も身体的にも育っていかなくてはならない。
少子化、核家族化はこどもの環境をかえた。近 隣知人のこどもの面倒見もうすくなった。
悲しい事件に出会うたびに、親も環境も選べな いこどもの悔しさをおぼえる。


オアシス

こどもを躾けるには、叱りつけるよりは「こう しないといけないネ」となだめ、叱る方がこども は素直に聞き入れてくれる。
三歳のこどもの脳の重量は大人にほぼ近い。大 人の行動をよく見ている。
大人は日頃からオアシス(おはよう、ありがとう、 失礼しました、スミマセン)運動を心がけるようにし よう。
こどもは日本の宝、かすがいである。
愛情をもって、いたわり、話し合うことが大切だ。 虐待も増えている。子育てで「手塩にかけろ」「三 つ子の魂」「鉄は熱い内に打て」といった言葉が あるが、これを逆にとった躾にならないで欲しい。


除去食

アトピー性皮膚炎、ぜんそくなどのアレルギー 症状のつよいこどもが増えている。その原因として、 生活環境の変化や食生活の変化が問題になっている。
昔から「ある人にとっての食物は他の人の毒と なる」と記した書物もあり、古くから食物との因果関 係も知られている。
最近は生まれて数ヶ月の乳児にもアレルギーが みられ、ミルクなどある種の食事を除去することで、 軽快する場合があり、除去食療法が小さなこども にも取り入れられている。
卵かミルクのアレルギーが多く、アレルギー症 状がつよい食物のみ除去することにし、十種類に も近い食物を除去するのは、こどもの成長に影響する ので、あとはくすりで症状の緩和を図るのがよい。


パパ・ママ聞いてよ

パパ・ママは忙しくっても、耳は空いているよね。
手は動かしながらでも、子どもの話を聞いて欲し い。子どもは今日の出来事、好奇心いっぱいの話 をしてくれる。面倒くさがらずに、耳をすまして ください。話を聞いてくれる人が居て、はじめて 話すのが楽しいと思うわけだから、良い聞き手で ありたい。
問題行動を起こす子は自分の話を聞いてくれる 親がいなかったからだと思う。
「聞いてよ」の意思表示として問題行動をとる。 そこで親は気づくが、すぐにわかりあえることは難 しい。
だけど、一生つきあう親子なんだから、親はじ っくり子どもの話を聞き、良い親子関係を作っ ていきたい。


レッテル

大人はあの子は「良い子」、あの子は「悪い 子」というレッテルを貼ってしまいがちだが、そ の子の一つの行為から「良い子」「悪い子」に 分類されてしまってはたまらない。
大人がその子の悪いところばかりを見つけて指 導していると、「どうせ私は何をやっても悪い子 だと思われてるんだから…」とますます困った行 動をとるようになる。少しの行動から「悪い子」 というレッテルを貼ることなく、その子の良いと ころを見るように努め、少しでも良いところを見 つけたら「ほめる」ことが、その子を良い方向に 導く。子どもは育ちの途中で、いろんなことをし でかすが、良い、悪いの判断を正しく、丁寧に教 えていくのが大人の大切な役割だと思う。


利き手

利き手は何歳で決まるのだろうか。 一歳以下の赤ちゃんにおもちゃを差し出すと、どち らか一方の手を出し、利き手はもう決まっているよ うにみえるが、二歳前後でもう一度、両手利きの時 期があり、三歳を過ぎて利き手は固定してくるとい われている。
面白いのは、三〜四ヶ月の赤ちゃんでも、寝るとき、 右利きの子は右側を、左利きの子は左側を向いて寝 ているということで、筆者自身がお母さんたちに尋 ねてみると、かなり的中率が高いことから、寝ぐせ による後頭部の扁平のかた寄りで、利き手が予想で きる。
そして最近は左利きを右利きに矯正することはあま り行われなくなったが、無理に矯正することはない。


三つ子の魂

何人かの赤ちゃんを比べてみると、泣き方、眠り方 や笑い方などにそれぞれ個性があるのに気づく。
このような性格は、生まれつき持っている素質だろ うか。この疑問に答えるためふたごの観察が行われて きた。その結果、生まれつきの素質と、環境による影 響力は、それぞれ半分半分でこどもの性格がつくられ ることが判った。
「三つ子の魂、百まで」という古いことわざについ ても、子供時代から性格的な特徴に一貫性があること がわかっている。
幼児期の子育てはほんとうに大切だ。虐待を防止し よう。


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