こどもの心とからだシリーズ


食卓

鍵っ子で親の帰りを待ちきれず、一人で食事をする 子は、以前からあった。
最近子どもの食卓の話題をテレビで見た。一つは親 が居るのに、わざわざ子どもの部屋に食事を運ばせて、 親はてんでに自分勝手に好きなテレビを見ながら一人 で食べている。この子が大人になった時、他人とのコ ミュニケーションはどうなるのか心配になった。
もう一つはおばあちゃんが折角みんなの食事を用意 してくれたのに、それを食ベずに別の食材を調理して 食べさせている母親の姿にあきれた。子どもが食べな いから他の料理を作る。一見合理的にみえるが、人の 心を踏みにじる行為を子どもに教えていることになる。 これらの子どもの数は一割弱という少ない事例である (?)が、基本的には対話を重視した一家団欒の食卓を 囲んで欲しい。


テレビゲーム

幼い頃からゲームに触れる機会の増えた昨今、あま りに残酷すぎたり、リアル過ぎる映像は、現実と仮想 の区別が充分できない子どもには決して良くない。
親は子ども任せにせず、子どもがどんなゲームをし ているのか、時々は覗いてみたり、一緒にプレイして よく話しながら、問題点を整理、把握しておく必要が ある。
ゲームソフトも多彩になり、恐いものや、光刺激の 強いものや、大人向けのものなどが混在しているの で、そろそろ子ども向けソフトと大人向けソフトは、 はっきり区別して販売して欲しいと思う。
業界も自主規制の流れは出始めているが、まだまだ 不十分な気がしてならない。


キズドライ

子どもはよく走る。走りまわっては、頭が重いので よく転ぶ。膝小僧をすりむくのは日常茶飯事だ。
傷からばい菌が入ると怖いということで、消毒する のはいいことだが、最近広まってきているキズドライ パウダースプレー、これには外科の先生が因っている と開く。キズドライが傷を隠してしまっていたり、傷 の状態を確認できないし、中にはキズドライの下で化 膿していたこともあったそうだ。乾燥したキズドライ をとり除くのに一苦労する。
傷口を洗浄せずにキズドライだけをつけていると、 細かな砂が傷の中に残っていることもある。キズドラ イの殺菌力は十分ではない。すべてのケースでキズドラ イを使ってはいけないということではなく、少なくと も使用上の注意にある「ご使用前には傷口のよごれを よく洗ってからご使用下さい」ということだけは守っ て、傷口の深い時は医者に見せよう。


子育てと父親

「子育てをしない男を父親とは呼ばない…育児(い くぢ)なしだ」などといわれ―だからこどもは産ま ない。離婚は増える。今の日本では結婚、出産が遅く なっている。そして少子化がエスカレートしている。
核家庭が六割を超す現在、夫婦が協力して、それ ぞれの立場で育児に精をだすことが要求される。
育児における父親の役割は父親はその家庭において は「大黒柱」になることだ。そして、こどもとの語らい を幼い頃から心がけることが大切で、しつけにしても 叱りつけるより「こうしないといけないネ」となだめ る叱り方が、こどもも素直に聞き入れてくれる。
私も日常生活で、オアシス(おはよう、ありがとう、 失礼しました、すみません)言葉をこころがけ、こども と接することにしている。こどもは日本の宝、夫婦、 社会のかすがいである。愛情あるいたわりと、話し合 いが大切だ。


メリハリ

メリハリのある子育て、「親の心、子知らず」「子の 心、親知らず」昔の人はうまい言葉を残したものだ。 これらの言葉、親子のちょっとした心のすれ違いを実 にうまく表現している。
親は子のためを思い、厳しく育てようとする。でも、 子の側からみると、怖い親だったりする。
こんなに怖いのは、私が可愛くないからかな?
本当はこの家の子じゃないのかな?
これはちょっとまずい状況。
親子の間にこんな誤解が生ずる可能性はある。
子どもにはできるだけ優しく、愛情を注ぐのが良い と言われていて、これは子の側からすると真実だと思 う。いつもは優しく、愛されているという実感を持っ ていればこそ、いざという時の厳しい言葉が効いてく る。これがメリハリのある子育ての効果だ。子育ての 本質は愛をうまく伝えることではないのか。


ことば

こどもが言葉を覚えて、喋れるようになると、次に 自分の言葉でまわりの注意を集めることをはじめる。 乱暴な、汚い言葉が注目をひくのに手っ取り早く、み んなが注目してくれるので、こどもにとっては満足 だ。その言葉が何を意味するかそんなことは理解して いないが、面白いと思う言葉を真似しているだけだ。
人前で云われるとお母さんは因ってしまい叱る。そ うすると益々その言葉への関心が強まり、こどもはそ の言葉にひかれる。
そこで、こんな時期があると理解し、あまり心配し ないことだ。
周りがさわいでくれないと本人も面白くない。
お母さんがカッとなって、反応すればするほど、 こどもは自分の気持ちに引っ込みがつかなくなる。
こんな時、それはいけないということを繰り返して 聞かせることが大切で、すぐ治るわけではないが、月 日とともに、もっと面白いことを発見しながら言葉は 成長する。


スキンシップ

スキンシップ、母親と赤ちゃんの最初のコミュニケ ーション。乳を飲む時、母の胸に抱かれた安定感が、 最も心地よい時間だ。肌と肌の触れ合いから、母親の 心音を感じ、心が安らぐ。
成長途中、三歳ぐらいになると、こども同士のじゃ れあい(スキンシップ)から、相手と自分との力関係 を学び、触れあうことに慣れる。
親子の間のスキンシップ、夫婦の間のスキンシッ プ、おばあちゃんが孫を膝に抱くことでのスキンシッ プ、どんな年代の人でも自分の「生きていること」を 確かめるための行為として、スキンシップは重要だ。 子育てにおいて、スキンシップの部分は手をぬかず に、情緒の安定した子を育てたい。ちょっとした、頭 をなでる、抱きしめる、そんな行為が、幼いうちに親 との絆を作ってくれる。


ヒエピタ

熱をだしたこどもが額に湿布のようなものを貼っているのを よく見かける。
頭を冷やす粘着シートで親に聞くと結構気持ちが良いそう だ。それで少し調べてみた。
シートに含まれる成分は、水溶性の高分子ポリマーに充分水 を含ませてジェル基材とし、香料、色素が加えられている。
熱さましとしての効果は、ジェルに含まれる水分の気化熱で 皮膚温を下げることにある。
実際には貼付後から局所の皮膚に2℃前後の冷却効果がみら れ、2時間ほど持続する。
こどもが嫌がらずに貼らせ、母子ともに安心出来、忙しい母 親の看護の手間を省けることから、この商品はこれからも重宝 がられるだろう。
しかしこどもの頃、一晩中温かくなりかけたタオルを水でし ぼりながら、額にあてて看病してくれた想い出も大切にしたい。


お箸

日本の料理は二本の箸で食べやすいようにつくられて いる。
近頃箸の持ち方がおかしいこどもが多い。そんな場 合両親や保育士も同じ様な持ち方をしていることがあ る。一〜二歳の頃は「手掴み食べ」でもよい。そして 持ちやすい「さじ」も用意し、遊びの中で食具への関 心を持たせるのがよい。あまり早くから二本の箸を持 たせると、うまく指が使えないから「にぎり箸」にな りやすく、これが習慣になると、生涯正しい持ち方が 出来なくなることがある。
こどもはいつも人が箸で食べているのを見ていて、 何となく下地ができてゆくので、もの心がつく三〜四 歳頃になって、正しい持ち方を教えるようにしたい。 何と言ってもはじめが肝心で、長い一生の食生活に及 ぼす影響は大きい。


着ぶくれ

寒い季節、こどもが頬を紅くしているのをよく見かける。
頬が紅いのは冷たい北風の刺激によるだけでなく、着せ すぎで、暑いこともある。
「子どもは寒がりだ」という日本的な先入観はなかなか なくならないようだ。最近は暖房もゆきわたり、栄養状態 もよいから、自由に動きやすい服装、そしてからだに抵抗 力をつけるためにも薄着をすすめたい。手足が幾分ひんや りするぐらいの着せ方がよい
衣服も一〜三歳児だと、大人より一枚少な日でよい。大 人が、お年寄りが自分の感覚で着せると、着せすぎになり やすい。
殊に親が寒がりだと、こどもまで着ぶくれてしまう。
そこでもう一つの目安は、誰でもが「今日は寒い」と感 じて一枚余計に着るような日は、こどもも同じ。
大人がもう一枚着ようかと迷った時はこどもには着せな いのが良いと考えたい。


ペット病

最近はペットブームで、室内外を問わず、犬や猫と 生活している家庭が急増している。ペットから感染す る主な病気はトキソプラスマ症と寄生虫症だ。
特に可愛い幼犬に寄生する犬の回虫は糞便を介して 人体に移行する。
庭や砂場など幼犬の糞便で汚染されやすい場所で遊 ぶ機会の多いこども達にイヌ回虫症が多く、社会問題 になっている。
トキソプラスマ症は妊娠中の女性が感染すると流 産、死産が起きやすく、生まれても小頭症水頭症などの異常 児が生まれることが多い。
唾液を介しての感染は少ないようだが、犬に限らず ペットと接したあとはよく手は洗い、からだを拭く。
小鳥のインコや小鳩を家中で飼っていると、糞便な どからオウム病といって、治り難い肺炎にかかること もある。ペットにご用心。

※ 2002/07/08訂正


えほん

赤ちゃんは言葉は話せないが書いたいことがある。
こどもの言葉の世界を広げるのに「子守歌」 や「あ やし言葉」が大切だ。
だが両親共働きなどで、こどもと接する時間が少な くなった。それを補うにも絵本が大切。絵本は必要以 上に多くの言葉は使われていない。
乳幼児に読んで聞かせて、本人にも言わせてみて 親子の会話が早くから確立する。好さなキャラクター の本やテレビでこどもを本好さにするのも良いが、そ れだけでは成人してもコミック週刊誌派が増えてしま う。
絵本はこどもの言葉や情緒や社会性の発達に役立つ と見直されている。
こどもが絵本と楽しくかかわり合えるチャンスを作 っていくことは大人の責仕だ。お正月絵本を通してゆ っくりこどもと会話を楽しもう。


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